●いろんな本屋を回ってみたが、欲しいモノは見つからず。
それは14日のことだった・・・。
俺はある本を探して橋本の町へ繰り出した。
いくら金が飛ぶか考えたくない。しかし、欲しいモノを手に入れたい気持ちは変わらない。
はやる気持ちを抑え、俺は電車に揺られていった。
天候は、まさしく買い物にふさわしいぐらいの晴れであり、俺の出発を祝っているようだった。
・・・そんな俺を待っていたのは、予想したくない事実だった!
橋本駅に小さく在る『啓文堂橋本駅店』は、マニア層向けの本屋と俺に認識されている。
お目当ての本を探し、本屋を目指す。
しかし、何故か本屋が目にとまらない。そのまま通り過ぎて、TSUTAYAの前に辿り着く。
「はて・・・何故本屋に入らなかったんだ、俺よ。」
呟いても、返ってくるのはその他有象無象の足音だけだった。
俺は来た道を引き返し、首を捻りながら本屋の位置まで歩く。
今度は曖昧な気持ちではなく、はっきりとした意志を持って本屋を探す。
すると、本屋はあっさりと見つかった。
・・・巨大なシャッターが降りた状態のままで。
呆然とする俺の前に、一枚の紙切れが貼ってあった。
そこには、2月4日まで整理をすると書いてあった。
・・・さすがに本屋そのものが無いのでは、本を買うことはできない。
仕方なく、もう一つの本屋である『有隣堂ミウィ橋本店』へ向かう。
ネットの情報によると、橋本近辺では一番大きな本屋らしい。
大きければそれだけ本が多く、より見つかる可能性が高いだろう。
そう思い、今まで一度も入ったことの無いミウィに入っていく。
エレベータで5Fに上がった俺の目の前に広がったのは、様々な学術書だった。
だが、俺の欲しいモノは学術書なんて本では無い。
店内をそさくさと進み、奥の一角にコミックコーナーを見つける。
そして、その近くに電撃文庫などライトノベルのコーナーも在った。
よし、舞台は整った。
・・・さぁ、捜し物を始めよう。活字に埋もれた世界から、かの本を拾い上げるのだ。
まるでシューターの反射速度でライトノベルコーナーを探す。
コミックも欲しかったので、ついでとしてコミックコーナーも探す。
30分ぐらい経ったであろうか、コーナーを隅々まで探した俺は理解した。
「この本屋、もしかして売ってない無い!?」
そう、売っていないのだ。これだけ時間を掛けて探しても見つからない。
こんな時、フィアッセの能力が有れば見つかるかなっと考えた俺は、もう駄目だと思った。
落ち込む俺の前に、一つの端末が在る。所謂、書籍検索機だ。
ここで検索しても見つからないのであれば、諦めも付こう。
俺はそう決意し、端末の前に進む。
端末のパネルを操作し、自分の欲しい本のタイトルを入力する。
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「この本は当店には在りません。ご注文する場合は以下略・・・」
パネルに拳をぶつけたくなる衝動を抑えつつ、俺はもう一度文章を読む。
何回読み直しても、この店に無いことしか書かれていない。
・・・しょうがない、無いモノは無いのだ。
まだ次が有る! 欲しい本はたった一種類だけじゃないのだ!!
そう考えつつ・・・いや、本当は現実から目を背けているだけと分かりつつ、次のタイトルを入力する。
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「この本は当店には在りません。ご注文する場合は以下略・・・」
手が駄目なら足が有る!
・・・いやいやいや、ここで蹴りでも放とうものなら器物破損で豚箱行きは確定だ。
それこそ、本など絶対に手に入らなくなる。
怒る心に火を付けつつも、俺はそれを気合いと言う理性で押さえつける。
そうまだ一つ有る。その本だけでも入手出来るのであれば、水に流そうではないか。
俺は最後の良心に縋り、パネルの上に指をなぞらせる。
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「この本は当店には在りません。ご注文する場合は以下略・・・」
・・・もう語る言葉も無い。
俺はうちひしがれて、本屋を後にした。
欲しいモノは中々見つからない。だからこそ、その価値は必然的に上がる。
次こそはと心を奮い立たせ、俺は電車に飛び乗るのであった。








